Sweet

スガシカオ( 菅止戈男 ) Sweet歌詞
1.あまい果実

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

受話器のむこうで 音がしているけど
その部屋に誰か 他にいるんじゃないのかい
テレビの音って 君はいっているけど
何かが動いた音に聞こえたんだ

どうしていつもそんなに大事なことを ぼくに隠そうとする

あまい果実みたいに ぼくの中で
熟しているんだ
したたり落ちそうなくらいに
君への想いはあふれているのに

なぜ君はそんな言葉 ぼくにいうんだろう
“束縛”なんて そんな幼稚なこと
君のこと全部 ぼくは知ってるんだ
引き出しに隠した過去も みんな知ってる

こころを開いてくれないと もう全部ダメになってしまう

※あまい果実みたいに ぼくの中で
くさってしまうよ
君へのこんなにも深い
この想いはかわってしまうんだ※

君のことを全て今すぐにでも ぼくは手に入れないと

あまい果実みたいに 時がたつと
黒ずんでいくんだ
もうそばにいれないくらいに
そのニオイは鼻をつくんだ

(※くり返し)


2.正義の味方

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

街はずれの工場のならび 不思議な家族が住む
昼間から家族4人で テレビをみている家
標準的な幸せの風景

しかしいつのぞいてみても テレビばかりみている家
何かしてる様子もない あまり笑ったりもしない
誰がいつ働いているんだろう

もしかして あれはもしかして むかし正義の味方で
今はもうたぶん今はもう 出番がなくて家にいるのかも…

近所に知り合いもいない 町内会もでない
とにかくテレビをみてる たまにはみかんも食う
夜になると 電球が消える

ある朝雨戸がしまって 突然空家になった
行方は誰も知らない そもそも知り合いはいない
今はネコが住みついて寝てる

夏がきて 秋が過ぎ去って 相変わらずの日々がつづいて
工場もやがて閉鎖して 春にはビルが建ってしまうらしい

もしかして あれはもしかして むかし正義の味方で
遠い場所へ どこか遠い場所へ 活躍できる遠い場所へ…


3.夕立ち

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

その日 午後から日暮れにかけて
かるい夕立ちが通り過ぎた
そして ぼくらは海の近く
ぬれたアスファルトを走った

つぶれた うすぐらい貸し倉庫のかげで
しばらく 空を見上げて雨をしのいだ

ふいに 君がくちずさむ ぼくはきいてる
ききおぼえのないメロディー
もう 消えてしまうくらい ちいさな声で
やがて 途切れてしまう

帰り 都内へ向かう道は
ひどい渋滞が続いた
二人でどんなことを話したかは
おそらく君も覚えてないだろう

ラジオで 知らない人の悲しいニュースと
誰かの つまらないバラードが流れた

ふいに君がくちずさむ ぼくの知らない歌
たよりなく流れていく
いつも 話しかけようとして 言葉を探すと
それは途切れてしまう

ふいに 君がくちずさむ ぼくはきいている
メロディーは 覚えていない
そうして 失ってしまうもの 守りきれるもの
ほんの少しの違い…

ふいに 君がくちずさむ ぼくはきいてる
ききおぼえのないメロディー
もう 消えてしまうくらい ちいさな声で
やがて 途切れてしまう


4.ふたりのかげ

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

街灯がうつしだした ふたりのかげはゆっくりと
君の家のほうへ のびて ほどなく消えた

明日には いいことが ふたりにあるかなぁ

時々 全てはこわれかけて 君は言葉をなくしてしまう
ぼくでは涙を うまくぬぐえない
帰りの道 かげはひとつだけ

最終の地下鉄は 誰かの事故で混んでいて
人波におされて ぼんやり時計をみていた

明日まで あと少し なにかがかわるかなぁ

ぼくらが 生まれて消えるあいだ どれだけ人を救えるだろう
汚れたマドには何もうつらない
君はもう眠ってしまったんだろうか

明日には いいことが たくさん あるかなぁ

十字路を 曲がるまでふり続けた その手は君にみえただろうか
信じるだけでは 何もかわらない
そうして今日はすぎていくんだ


5.310

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

3月の10日付で ぼくは転勤して
小さな郊外の この街で暮らした
前よりもほんのちょっとだけ 広いマンションで
年齢を偽った 中くらいの女と暮らした

その女は いつもビスケットをかじっていて
毎晩ぼくに 性交を求めてきた

あぁ どうしてぼくたちは してしまうんだろう
遠くで犬がないてる いつもの犬
パイプベッドがきしんで うるさいのかなぁ

そうだ 遠いあの日 夕暮れの舗道で
ぼくらは手を握って 未来だけ見つめていた

早朝からの出勤で ぼくは疲れていて
昼の休みに 屋上で少しねむった
ふりそそぐ陽射しの中で ユメをみる
体の中に あの女が住みつくユメ

あぁ 子供の声がする 昼下がり
喉の奥で渇いてく ユメのにおい
この青空に消えてく 蜃気楼のよう…

あぁ どうしてぼくたちは 抱き合うんだろう
腰のあたりに感じる 重たい熱
あらわれては消えてゆく 蜃気楼のよう…


6.夜明けまえ

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

風の音が やみそうにない夜は
よけいなことを考えてしまう
世界中で ただぼく1人だけが
ゆるしてもらえないような気分さ

ねぇ君はあの時電話をしてきて
ねぇ君は本当はどうしようとした

今テレビの画面で誰かが
愛のため その銃をとった
風がひどくまたマドをたたいて
セリフがうまく聞き取れないんだ

ねぇ愛という言葉ですましてきた
ずっと昔から あやふやな感じ

今 夜のヤミにむけ うちはなつ
ぼくらの銃声は
みえないそのカベを 一瞬で
突き破ろうとして
街にただ ひびいただけ

昔 この両手にかけられた
プラスティック製のオモチャの手錠
ぼくは1人で はずせなくなってしまい
こわそうとして きつくしまった

ねぇ君が愛してるって聞く度に
ふっとよぎる このどうしようもない感じ

今 風がふきぬける この街で
ぼくは目をこらした
空のずっと先に 夜明けを
みつけようとして…
しばらく ヤミを みつめた

今 風がふきぬける この街で
ぼくは目をこらした
空のずっと先に 夜明けを
みつけようとして…
しばらく ヤミを みつめた

夜の街にむけ うちはなつ
ぼくらの銃声は
ヤミをつらぬいて 夜明けまで
とどきそうなのに…
風がただ ふきつけるだけ


7.師走

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

ぼくは君にいろいろといいたくて 手紙をちまちま書く
この手紙はまだまだ続きそうで 見るだけでお腹はもういっぱい
あーあ 君に会いたいなぁ
もう仕事なんかいいよ 明日やればいいよ

課長だってわかってくれるさ こんなぼくの気持ち

ぼくは君の気持ちをしりたくて あれこれと作戦をねる
計画では来年の4月くらい まちがいなくぼくのものだろう

あーあ はやくこないかなぁ

クリスマスなんていいよ あとでどうにでもなるよ
幸せってこんなことだと きっと君はいうよ

ぼくは君をデー卜に連れ出した そろそろケリをつけようと
山崎からおそわったこの店は 今日に限ってヘビーメタルデイ
あーあ 話もできないなぁ

なんかちょっとこうないの? グッとくるやつないの?

こんなことで気まずくなったら 奴に責任とらそう…

あーあ 君はどうしてるかなぁ
忘年会はいいよ 今年はなくていいよ

ねえ 今度デー卜するときはぼくと 中華料理なんてどう?
幸せってこんなことだと きっと君はいうよ きっと君はいうよ


8.グッド・バイ

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

君にはだまっていた 気分の悪い話さ
ひがんだ奴らの 手アカのついたウワサで
新しい旅立ちを 汚したりはしたくないし

空港に着くまで 何も話さずすごした
ゲー卜の向う側で 1度こっちをふりむいた
少しだけ笑って 何か言ったみたい

※東の空につばさが 消えてしまうと
何もない空に 残像だけが残った
どうして こんなに何回も ぼくは手をふるんだろう
2度と そう2度と もう会えなくなるみたいに…※

空から見おろす ぼくらがいた街はたぶん
ゆがんだ笑いと だるい空気のかたまりさ
新しい暮らしで とり戻したらいい

あの日から ぼくらの毎日は 変わることもなく
今度はぼくひとりで あきれた顔をするんだ
時々君がどうしているか 少しだけ思うんだ
うまく そううまく 全てが続いていけばいい

(※くり返し)


9.いいなり

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

君のいいなりになって ぼくは汚れた
はずかしい姿で それを受け入れた
あの時の君の うすわらいを おぼえている

君の大人の手に もてあそばれて
ぼくの身体はピンと かたくはりつめた
そんなぼくだって あれから大人になったんだ

今度は さぁ今度は 君の番になったんだ
そこにひざまずいてごらん
本当は 本当は 怯えているんじゃないのかい
ぼくのことが怖いんだろう

君はあの時たしか ぼくにいっていたんだ
「できるものなら やってみてもいいのよ」って
ねぇぼくのいうこと 間違ってはいないよね

鮮明に 鮮明に ぼくは思い出せるんだ
あの時 あの瞬間を
あいまいな あいまいな 話し合いなんて必要ない
君はぼくに ひれふすんだ

部屋のドアはカギを かけてあるから
誰にも見られないし 逃げ出せないし
もう考えただけで あまい蜜のにおいがする

本当は 本当は 許してほしいっていってごらん
君の口でいってごらん
何回も 何回も 声に出していってごらん
それでぼくは満足さ


10.ぼくたちの日々

作詞:スガシカオ
作曲:スガシカオ

最近のぼくらは したり顔で
都合のいい愛に 浮かれていた
優しく 抱きしめるふりをしたり…

冗談ばかりで 楽しすぎて
体の奥まで 甘えたりして
ありえない夢を見て 日々が過ぎる

今、ぼくらの声は カラカラと
乾いた音をたてて すり減っていく

曖昧な態度で やり過ごした
誰かを言葉で 汚したりして
悲しみを押しつけて 日々が過ぎる

今、ぼくらは うまく歩こうと
乾いた風をうけて よろめいている